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みつるは鬼やで!!!!!(沢井章之目線)

2009/07/03 [Fri] 21:31
「なぁ、ペコ。なんかあったん?」

みつるが百数えてる間、ペコと俺はそれぞれ作戦会議をしていた。
どうすれば鬼ごっこがより面白くなるか。
俺らを探してるみつるの背中に何か貼ったろか。
どうやればみつるの鞄に眠ってる小テストの答案をはりつけてやれるだろうかとか、
アホなことばっかりやった。

「なんか面白いことしたくてさぁ。スポーツ系だと頭空っぽにできるからいいけど、
 道具ないし。それなら鬼ごっこかなって」

それならってなんやねん。
俺は後ろから腕を伸ばして、前にいるペコの首にひっかけるようにしてペコに飛びつく。
うげっとペコが変な声をあげた。

「なんなん? 頭空っぽにしてどうにかなんの!?」

「あああああ!! 背中が硬い男の感触いっぱいになってるううう!!」

やめて俺女の子好き! と騒ぐペコを、腕に力をいれてだまらかす。
俺かてノンケやで! 電車のあの子一筋やで!

「…たんだよ」

「あぁ?」

ペコがボソボソと何か喋った。声が小さくて聞き取りにくい。



「綾が男と手繋いで歩いてたんだよ!」



ペコがでっかい声で吐き捨てるように叫んだ。
俺は何を言っていいのかどころか、話を理解することに時間が必要で、
シーンっていうマンガの文字が聞こえるみたいやった。

「うっそぉ…別れてまだちょんみりやんけ」

「別れる前から俺の次はもういたんだろ…」

ペコは叫んだときにうるっときたのか、
鼻をすすりながら、力の抜けた俺の腕をすり抜けていった。
励まそう、と思うほど、いい言葉は思いつかない。
普段から考えていればいいのかもしれんけど、そういうのって
いざという時絶対役に立たないんやろな。

「え、ええやん。最近女子高の寛子ちゃんとええ感じやなかったっけ? 
 ほらよく一緒に帰ってる子いたやん? その子と付き合えばええやん!」

「寛子はそういうんじゃないよ。たまに電車で会って一緒に帰るだけ。
 なんでみんな男と女が一緒にいると付き合ってるって思うのかな~。
 男女間には友情は成立しないのかね!!」

「…それは難しい問題やね」

ペコは両手をポケットに突っ込んでだるそうに歩きだした。
俺も一緒に歩く。俺は何をしたらええんやろ。教えて偉い人(誰…? 大統領あたり?)

「せっかくバンド組むことになって意気揚々してたのになぁ」

ペコがでっかい独り言を喋る。
俺は、せやね~と差し障りない相づちを返した。

「ええやんええやん」

「何がよ~?」

「バンドでイケメンなってモテモテになればええやん。
 綾ちゃんに、振ってもうてもったいなかったわ~! って言ってもらえるように
 ベース練習せえや! 経験者やからって手抜いたらあかんで!」

な! と俺はペコの背中をバッチーンと思いっきり叩いてやった。
ペコはでかい声をあげて、大げさにフラついていた。

「あっきー本気で痛い!!! 
 ドラムやったことないあっきーのが大変なんだからね」

「そうなん。俺ドラムの練習始めて、手が2本しかないことに気付いたわ」

「…今まで何本だと思ってたの?」

2本!!!! あ、ドラムの練習しまくってると手が何本か生えてくるんかもな!!」

「練習しまくったら、たぶん腕2本で上手く叩けるようになるんじゃないかな?」

「…ペコめ」

「あ~鼻水が…とまんない…あっきーティッシュ持ってない?」

「ある」

「マジ? 一枚頂戴」

「家に」

「(あっきーめ…)……あ、みっちー!いいとこいた! 持ってたらティッシュくれない?」

ペコは鼻水垂らしながら、近くにいた同級生(美形)にティッシュをもらってた。
さっきまでグスグスしてたくせにもうヘラヘラしていた。
無理してるのか素なのかわからん(多分素)

「~~~! あ~~スッキリしたわ。みっちーサンキュ!
 ……みつるのやつ、そろそろ俺ら探し出したんじゃない?」

「せやね。まず見つけてくれるかわからんけどな」

ちゅうか百数えるんはかくれんぼやろ。
そう俺が突っ込むとペコは、あ! とでっかい声を出して苦虫を噛み潰したような顔になった。

「なんや…ペコくん達忙しいんか?
 調度荷物あったからティッシュのお礼に運んでもらおうと思ったのになぁ」

頭を抱えて騒いでいる俺達にみっちーという美形男子(しかも眼鏡男子)(並ぶとペコが残念)
苦笑いしていた。みっちーの足元にはダンボールがあって。
中には笛や拡声器、バトンが入っとった。

「みっちー、何これ?」

「体育祭の準備手伝わされてん」

俺体育祭実行委員ちゃうのになと苦笑いしながらみっちーは
廊下につまれたダンボールを教室の中に運んでいく。

「? ペコ? どないしてん?」

ペコがダンボールの中を見て固まっている。
俺もつられて中を見た。
さっきとなんも変わらん………んん?

「ペコ、今何考えとるか当てたろか?」

「多分あっきーと一緒」


俺達はダンボールの中に手を突っ込んでにやっと笑った。
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あんたら鬼だ!!(望月みつる目線)

2009/06/07 [Sun] 12:15
「なんか鬼ごっこしたい!」

ある日の放課後。ペコが机に両手の拳を叩きつける。
アホなことを言うペコの顔が真顔で俺とあっきーは目を丸くした。

「すればええんちゃう?」

「だよね。ペコ1人で。エア鬼ごっこ

ペコはお前ら酷い! と机をバンバン叩いている。
俺達3人はサボったり、バカなことして遊んだり、時には突拍子もないことをする。
その突拍子もないことを提案するのはいつもペコだった。

「寂しすぎるよね! 2人のいけず! 三擦り半!」

「ぶぅう! そんなん早くないわ! 俺は普通!」

「そ、そうだそうだ!(え、なに? 巫女さん?)」

ペコの言ったことはわからないけど、とりあえずあっきーに同調する。
あとで母さんに聞いてみようかな。
(みつるやめとき!!! 激しく無茶やから!!)

「いいじゃん! 少年の心を忘れないでいようぜ。
 ほら、ビックリマンチョコのシールあげるから」

「いらねえぇええ!」

「もっといいもん持ってこんかい!!」

「ワガママだなぁ…じゃあ鬼が逃げてる2人捕まえたら、
逃げた人が負けで鬼に牛丼特盛り奢り。鬼が捕まえられなかったら、
捕まらなかった人の分の数だけ並盛り奢りね」

「なんか鬼不利じゃない?」

「おっけ。鬼が勝ったら、俺から副賞でミニストップのソフトとポテト奢るわ」

勿論俺が鬼の場合はなくていいよ。とペコは俺達を見てへらへら笑っている。
余裕とでもいいたいのか! このノッポさんめ!(あっきーもでかいけど!!)

「決まりやね。はい、ジャンケンすんで! 最初はパー!!」

グーじゃないのかよ! 

ペコはちゃんとパーをだしている。俺は2人の策略にハマって案の定鬼になってしまった。
あっきーはスポーツ万能。ペコは中学時代に野球をやってたスポーツマン。

え、この文章で俺死亡フラグたってない?

「学校内だけね!」

「わかっとるって! タイムリミットは始まってから30分後な! みつる、はよ100数えて!」

「(タイムリミットながっ)(あっきーまでノリノリだし…)い、い~ち」

「おっしゃああああ!!!!!!!!」

俺が数え始めた途端、ペコは手を直角にふりながら物凄い勢いで
机いっぱいの教室の中を器用に走って出ていく。

「ペコ本気すぎ!!! …あ、あっきー…」

残ったあっきーに不安を視線で訴える。
あっきーはにこにこ笑って俺の肩に手をおいた。

「みつる! 関西人がものが賭けられた勝負に手抜くわけないやろ!」

ほな! とあっきーも跳ねるように走って出ていってしまった。
ペコほど勢いはないけれど、物凄く身軽だった。

「そ、そんな………
 そんなあああああああ!!!

俺の悲惨な叫び声が誰もいない教室に響いていた。

キラキラした瞳の中の赤いチューリップ(不二家美学目線)

2009/05/28 [Thu] 21:29
花屋で買ったチューリップは1本とかすみ草だから滅茶苦茶軽い。
俺はがさつな人間だから、折れたりしないかなと心配になって
学校につくまで始終チューリップを眺めていた。

むっちゃんのクラス、1年3組の扉は思いのほかドアが低かった。

(多分全部のクラスがこのくらいなんだろう。酷いな…)

俺達はちょっと頭をさげて教室の扉をくぐる。
みつるはなんだか緊張していて、あっきーはなんだろう。
居心地が少し悪そうだ。まぁ、それもそうか。視線が痛いし。
俺は胃腸弱いからプレッシャーや悪口とかでボロックソ凹むけど。
愚痴を喋れるだけ喋っちゃえばそれもなくなる女みたいな性格だから。
あ、今自分の台詞で凹んだ。しょんぼりしちゃう。

むっちゃんはちょっとドキドキしているんだろうか。
足バタバタさせていて、キョロキョロと先生や隣の子を見ていて視線も定まってない。
それでも黒板にすぐ視線を戻すむっちゃん。お母さんの教育の賜物だろう。
俺が1年2組だったときもこんなだったんだろうか。
…すぐに考えるのをやめた。
センチメンタルになると俺は1人っきりになってしまう。
すぐ自分の世界を作って浸ってしまう。

ツンツン、と肩をつつかれて俺はマイワールドから連れ出された。
2人の方をみると、あっきーが笑っている。
俺の肩をつっついていたのはあっきーだ。何?
あっきーの指の先には眉間にがっつり力の入るみつる。
緊張しすぎて顔こわばってやんの。面白くてつい笑ってしまい、肩が震えた。

「みつる、眉間に皺よっとんで」

「お顔こっわーい」

小声で会話しながらみつるの眉間とデコつっついて笑う。
みつるもやっと笑って、気持ちを切り替えるように姿勢と服装直す。
まっすぐ向きなおしたみつるは、優しい目でむっちゃんを見ていた。

俺は少し手持ち無沙汰になって、チラチラ色んなところ(掲示板とか)見ていて、
ふと隣の若いお母さんと目があった。
とりあえず笑顔で会釈する。
聞きにくそうに、それでも好奇心に目を輝かせて、若いお母さんは俺に問いかける。

「父兄の方なんですか?」

あ、やっぱりきたこの質問。俺は笑ったまま軽く頭をかく。
ちょっと恥ずかしそうにする。わざとじゃない、ちょっと作ってるだけ。

「俺は違うんです。今日開校記念日なんで友人の妹の授業参観に
 一緒について来たんです」

「あら、そうなの~?」

なんだか小学校いると懐かしくて戻りたくなっちゃいます。
なんてちょっと高めの声をだして、できうる限り爽やかに笑ってみる。
我ながら外面のよさに反吐がでるけれど、それでもこんな俺はとても便利だ。
どっちかっていうと飾らないで、ぶっきらぼうな一匹狼の方が
ずっとカッコイイ気がするんだけど。
俺はそんな勇気もない。度胸もない。カッコ悪い野郎だなと思う。
それでも満足するしかないこの現状に俺は心底ガッカリする。ガッカリ。

キンコーンカーンコーン

鐘の音は小学校が違うからなのか多少違和感を感じた。
着席という高い声がしてすぐ、むっちゃんはみつるのもとに急いで駆け寄る。
嬉しいのと驚いたのが混ざったようなそんな表情。
みつるとあっきーからもらったチューリップを大事に持ちながら
笑ってるむっちゃんが可愛くて眩しくて羨ましくてたまらなかった。

「ペコちゃん!」

キラキラした可愛い瞳に見つめられている俺。
こんな俺でも、むっちゃんの瞳の中ではいつもよりちょっとだけ
格好良くうつっているんじゃないだろうか。

「お姫様。ペコちゃんからのお花を受け取ってもらえますか?」

むっちゃんは、ふふ、とちっちゃく笑う。
俺はキラキラした小さなお姫様に恭しく花束を渡す。
赤いチューリップ。花言葉はなんだったっけ?

「ペコちゃんどうもありがとう!」

むっちゃんのキラキラした瞳の中には、確かに輝く俺がいた。








赤いチューリップの花言葉<美しい瞳>

君はイエローチューリップ(沢井章之目線)

2009/05/20 [Wed] 22:53
俺達は朝学校に行くフリをしてみつるの家にこっそり集合していた。
俺はみつるんちの洗面台で髪を整える。
カチューシャをとって、軽く後ろに流した髪を黒いゴムで結んだ。
カチューシャは鈍く黒光っていて、大事に使ってたんやけど年数を感じた。
フラッシュバックする甘くて苦い思い出を噛み締める。
俺も歳とったんやなぁ、とか。
千代ちゃんは前より大分強なったなぁとか、20代のお姉さんに鼻で笑われるようなことを考えた。

目の前の鏡。その前で、キリッとした顔をしてみるけど…
なんか…軟派な感じがしてならん。
ピンクのポロシャツの襟を直す。

「あっきーそろそろいくよー」

「あいーん」

俺は最後にウェストポーチの位置を調節する。
腰少し下ぐらいがベストやね。
2人はもう家の外にでてて、俺を待っていた。
みつるの私服は普段着っぽいのにどことなくオシャレやった。
ペコは帽子めっちゃ好きって言っとって、こじゃれた帽子なんぞ被ってた。チッ!

俺はちょっと気張ってきたつもりやったからか、緊張も重なっているせいか
頭がごっちゃになっとる。メダパニ!

「あっきー…なんかさ、緊張のせいかなぁ? 怖くない?」

「んなわけないわー!」

「はいはい、みつるは小学校行ってから不安になろうねー?」

俺は全然正直になれない。
言ってしまうと、その弱音が真実になってしまう気がして認められない。
怖い怖い。不安。
俺はキンパになって今まで味わったことがない、見かけだけの評価っていうのを味わってきた。
それでもし、もしもやで?
むっちゃんの評価が下がったら、どうしよう。
俺はそれが不安でたまらん。


教室に入れば、案の定俺らはあからさまな好奇の視線を受ける。
その大半はきっと俺に向けられたもんだと思う。自意識過剰かもしれん。
でも俺目立つし。キンパやし。
小学校の教室は俺の時とかわらんかんじの雰囲気やったけど、
俺がでっかくなったぶん、ちょっと狭い感じがした。
むっちゃんは前の方でピンクタイツの足を軽く前後にばたつかせてる。
振り向いたむっちゃんの驚いた顔。
そんで俺達に手を振ってくれるむっちゃん。
それを見て今日初めて俺はここに来てよかった! 俺正解! って思えた。

ふと、隣をみるとめっちゃ顔が固くなっとるみつるが見える。
それに気付いて後ろから手を回して、チョンチョンと指先でペコの肩をつっついた。
ペコは帽子を手で弄びながら、何? って俺の方に視線で問いかけた。
みつるを指差すとペコはみつるに気付いて微苦笑。俺も苦笑。
なんや、一番気張っとるの俺ちゃうやん。不安なの、俺だけやない。
俺はペコと、みつるのデコをつっついてやった。

「みつる、眉間に皺よっとんで」

「お顔こっわーい」

みつるはようやっと自分の顔に気付いてちょっと笑った。
肩竦めて、自分の服装を直す余裕もできたみたいやった。
俺はシャンと背伸びするみつるを見て思わず一緒に背筋を伸ばす。
物怖じせずに、まっすぐ前を見詰めるみつる。
いっちゃん背の低いみつるが、いっちゃん大きく見える瞬間だった。

ペコの方に視線を移動すると、どっかの若いおかんと話しとった。
開校記念日なんで友人の妹の授業参観に一緒に来たんです。なんて、
笑顔でヌケヌケといっとった。堂々と嘘つけるのは俺らの中ではコイツだけやね。
ペコはいっつも無駄に自信がある。
こん中でいっちゃん面倒くさがりで不真面目なくせに自信だけはある。
俺らだめやなぁ、なんて。
そんなんばっか考えてたら、俺は1人で面白くなってきて、1人で笑った。
自信なくしてる場合ちゃうよなぁ……俺はむっちゃんの応援にきたのに。

みつるの次くらいにむっちゃんを大好きなお兄ちゃんにならな!
俺が俺の中で決めたから!(勝手にな!)

俺はなんでか一生懸命むっちゃんの後ろ姿を見つめて、
隣の席なんで男やねんってみつるとブツブツ文句を言ったりした。
むっちゃんのピースサインに俺もピースして、
俺は自分の妹の千代ちゃんのことも思い出して、なんか胸が暖かくなった。


無事に終った授業参観。真っ先にむっちゃんはみつるのとこに走って
なんであっきーやペコちゃんがいるの? と一生懸命みつるに聞いていた。

「俺はな、むっちゃんの味方やから。どこにでも駆けつけてこれるんやで」

ペコにええ格好しー! と肘でつつかれる。
むっちゃんは、みつるから貰ったかすみ草とピンクのチューリップが入った
ちっちゃな花束を大事そうにもっていた。
チューリップが色違いの花束を俺はむっちゃんに差し出す。
俺のは黄色いチューリップ。花言葉は正直。

「むつみ。あっきーくんも大好き!」

照れるわー! って頭かきながら俺もチューリップを渡す。
本当は俺も大好きやで、なんて、恥ずかしくて言えんかった。
俺は正直な男にはなれんかもしれん。
そんでもむっちゃんに大好きって言ってもらえる男なんだなぁって思えた。

だから俺は、もうなんも恥ずかしくない。

俺の可愛いピンクチューリップ(望月みつる目線)

2009/05/12 [Tue] 20:50
1年3組の教室は若いお母さんやおばさんがほとんどで
お父さんは指で数えられる程度しかいなかった。
その中に男子高校生、しかも3人(1人金髪)がいれば目立つのも当然だった。
俺はシャツをピシッと引っ張って自分の服装をチェックする。
俺の格好はシャツとジーンズ。こういう場ってラフな格好でもいいんだよね?

「す、すいません」

俺達3人は頭をさげながら教室に入っていく。
ジロジロと効果音がつきそうなほどの視線を浴びながら俺達はこそこそと窓側に向かう。
むつみの席は窓から二列め、前の方の席。
勿論、後姿でもしっかりと俺はむつみがわかる。
可愛らしさが後姿からにじみでているからだ。胸きゅん。

俺の声が聞こえたのか、むつみはこっそりと顔を後ろに向けた。
むつみは俺達を姿を確認すると、少し口が開いた。吃驚している。
口を一生懸命手で押さえる仕草がとっても可愛い。
俺達が来ることは言ってなかったもんな。
俺が手を振ると、横にいたあっきーやペコもむつみに手を振った。
ちっちゃく手を振ってそそくさと前を向くむつみ。
嬉しそうな顔をしていた……俺はこの顔を見るのと幸せになる。
やっぱり参加してよかった。(例え後でバレて母さんにボコられても・・・!)

まわりを見回すと俺達だけじゃなく、父親もちょっぴり居心地が悪そうだ。
でもピンとまっすぐ立って、堂々と子供を見ている姿は本当にお父さんだった。
それを見て、俺は真似するようにピンと背すじを正す。
俺がこの場で縮こまる必要はないんだと思えた。
例え、俺がまだたったの15年しか生きていない若輩者で、
社会的地位なんてものはちっともないような男だとしてもだ。
俺はそれでも、むつみのお兄ちゃんで、むつみの父親で、望月家の男であるのだから。

ツン、と両サイドから指が伸び、眉間をつつかれる。
吃驚して左右をキョロキョロすると、2人は俺をみて苦笑していた。

「みつる、眉間に皺よっとんで」

「お顔こっわーい」

2人は真面目な顔を作る俺と反対で、満面の笑みだった。
笑う2人に、俺は笑いながら頷く。笑うと一気に肩の力が抜けてしまった。

(そういえば俺も1人ってわけじゃないんだよな…)

皆もしかしたら、気付かないでいるのかもしれない。
自分はいつも1人だと思い込んでいるのかもしれない。
俺は肩を少し上下させて、もう1回シャツを引っ張った。
ちょっとずり落ちてしまっていたズボンをブルー&ホワイトの
ストライプパンツが見えないくらいに引っ張りあげた。

はぁーい、と手を一生懸命あげる生徒達。鈴木先生がむつみをさした。
ナイス先生! 俺は腰の横で小さくガッツポーズ。

「足して5になるのは1と4と2と3です!」

むつみは算数の答えを鈴木先生に一生懸命答えて、
そんなむつみに、当たりです、って大きな声でいう鈴木先生。
喜ぶむつみに俺達も喜んで拍手する。
こっちを見てちっちゃくピースをするむつみ。俺も笑ってピースを返す。

俺はいつでも君が笑ってくれるように一緒にいます。笑顔でいます。
たとえどんな障害があっても。
それは、俺はむつみのお兄ちゃんだからです。

終わりの鐘がなれば、むつみはノートもそのままに
俺に向かって走りだした。眩しいほどのキラキラした笑顔。

「お兄ちゃん!」

俺の左手には一輪の花が握られていた。
学校に来る前に時間があまって、なんとなく寄った花屋で買ったチューリップだ。
(軽いノリが、本気になって、3人で悩みすぎて少し遅刻しました…)

駆け寄ってくる君に俺からピンクのチューリップを。
花言葉は思いやり。
君に俺の精一杯の思いやりを。
触れた手のぬくもりを俺はずっと守ると決めた。

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