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ブラックリハビリテーション(不二家美学目線)

2009/03/17 [Tue] 21:53
捨てきれないものを抱えあげていれば人はいつか重みにつぶれていく。
そして大事なもの達をそこらへんにぶちまける。
起き上がって、かき集めてかき集めて、でもそこには
1番大事なものだけないことに気づいて絶望する。

用心深い俺は無くすことを怖がって、抱えあげるものが増えるたび
少しずつものを捨てていた。
線引きしていらないものを決めていく作業は辛い時もあったけれど、
他人が抱えきれずに潰れるのをみれば不思議と
その辛さはどこかに消えていった。

俺は臆病者のくせに実にクレバーな子供だった。
大事にしろと言われても、それを影でこっそり捨てることができた。
でも、今気づいたら俺の腕は大事なものを山のように抱えていた。
腕が重さと恐怖に震えて、助けを呼ぶ声すらだせない。
慌ててあたりを見回してみれば、
みんなが俺が落とすか落とさないかゲーム感覚で眺めている。
そこにはたくさんの俺がいた。
かっこつけの俺は慌てて1番大事なものだけ力強く握りしめて
他のすべて捨てた。

俺の行動に薄っぺらい賛辞がふりそそいで。
俺は身軽になった体でみんなや賛辞から逃げ出すように走って、
誰もいないか確かめて立ち止まる。
1番大事なものを抱きしめてもそいつは鈍く光るだけ。
全部を大事にできないのかと大事なそいつに言われても
俺は何も言えないで、こっそり振り返る。

がっかりした俺の後ろには、誰かが重みに潰れていた。
まわりの笑い声にそいつは焦って落としたものをかき集めていた。
みんなが指差して笑っても、もう俺にはそいつを笑えなかった。
案の定そいつは1番大事なものをなくしたようだった。
でもそいつの腕の中にはたくさんの大事なものが残っていた。

俺は荷物が重すぎて立てないそいつに手を差し出したいと心から思った。
そいつの手をひっぱったとき俺の1番大事なものがわかるような気がした。
焦って困っている相手に差し出した手。
握り合えば温かくて涙が零れそうになる。
引っ張って、相手を立たせて。
俺は温かいそいつの手を離した時に気づく。

温かさがうつった俺の手には大事なもの少し戻っていた。
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