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青信号の渡り方(不二家美学目線)

2009/04/04 [Sat] 00:57
平均が一番いい。並よりは良がいい。
失敗したら、最初から成功する気なんかなかったって言えばいい。
俺はカッコ悪いことが死ぬほど嫌いだ。
恥をかくことも、冷や汗をかくこともイヤだ。
だから無難な道を選んでばかりいた。
仲間外れにされないよう、八方美人に色良い返事ばかりして、
たくさんの友達を作った。
馬鹿にされたくなくて、こっそり勉強して成績上位をキープしてみせたりもした。

俺は子供のくせに、うまく世渡りをした気でいたんだ。
どんなに上手くやってるつもりでも、躓いたらなかなか立ち上がれない。
昔からそうだった。

今から7年前、俺が黒いランドセルを背負っていた頃、俺には新しい父親が出来た。
「Hello」
金髪、白い肌、青い目。
母親が連れてきた男はどうみても外人だった。
小さい俺にはものすごい怪獣に見えたほどだった。
俺は思いっきり一時停止をして、
さらに英語で話しかけられてすぐに大泣きした。

ダムが決壊したみたいに目からボロボロしょっぱい水が流れて、
一緒にいた小学校あがったばかりの妹までつられて涙腺ダム崩壊した。
不二家ミニダムがダブルで崩壊、と母親はよくこの話を笑い話にしてくるので、
俺はいつもいたたまれない気持ちになっていた。

その頃のディヴィッド、俺の父親はたどたどしい日本語しか喋れなかった。
だから英語が喋れる母親とばかり喋っていた。
俺は母親と妹をとられまいとしていたから、
英語を喋ってたまるかと意地になっていた。
悲しきかな。そんな俺とは対照的に、適応力のある妹は
いつの間にか単語しか喋れない英会話から羽化してしまい、
ベラベラ英語を喋るようになってしまった。
衛星放送で外国のアニメやドラマを英語で聞いて、
エロスラングの意味を聞いては両親を困らせている妹を
俺はぼんやり眺めていた。
(英語はエロいのならなんとなくわかる! 不思議!)

まぁ、今思うと俺は意地にもなってたけど、
それ以上に恥をかくのが嫌だったのかもしれない。
間違った英語を父親に指摘されて、
言い直す妹を見るのが俺は酷く恥ずかしく感じていた。
幼い妹に劣る自分を想像することすら、
プライドばかりが高い俺には耐えられなかった。
だから俺は英語が大嫌いになったし、父親以外の外人が怖くて、
話しかけられると固まってしまうようになった。
父親が日本語が喋れるようになった頃には、俺もすっかり諦めていて、
まぁカタカナの名字も格好良いからいいかとか思ってた。
(その後、父親は婿に入りました。意味ないだろ!!! ガッカリ!!)

「そういや、boiboi!!メンバー出会ってもう半年はすぎたんちゃう?」

あっきーの声に俺ははっとした。
現実に引き戻された頭はなんだかぼやけたままで、
教室と目の前のプリント用紙がチカチカして見えた。
長く考え事をしていた俺の頭は現実を受け入れたがらないようだ。
ずり下がり気味になっていた眼鏡をあげると視界がはっきりしてくる。
目の前にはみつるとあっきー。
あぁ、そうだ。
俺達は授業中に騒ぎすぎて怒られたうえに、居残りさせられたのだ。
今時漫画でもなかなかないシチュエーションだ。
居残りしてもう1時間は余裕でたっているのに、俺達のプリントは真っ白だった。
(あっきーなんか名前すら書いてなかった)

「そうだね~! 俺達の奇跡の出会いね」

みつるは鼻息荒く語り出す。声が滅茶苦茶でかかった。
俺は体をみつるから離すように捻って、大袈裟にため息をついてみせた。

「俺はどうせならみつるじゃなくて可愛い女の子がよかったな」

「せやね。俺もや」

「こんにゃろおお!!」

机をガタガタさせながらみつるが叫んだ。
静かな教室に響いて、ぐわんぐわんいって、教室が揺れたみたいに感じた。

「ごぉらぁああ!!! 沢井! 不二家! 望月! 静かにやれっつったろ!!」

案の定、様子を見に来た先生にめっちゃくちゃ怒られた。
3人でお互いになすりつけあったら、拳固をくらった。(漫画かよ!)
俺ははしゃぎすぎて先生に怒られて
居残りさせられたことも、拳固をくらったこともない。
boiboi!!のメンバーになってからはバカばっかやって毎日のように怒られている。
仕方なく手をつけるプリントは俺の大嫌いな英語だった。

「ペコ! スペル違うよ!」

「嘘!? あ~…英語消えないかなぁ!」

「…お? みつるも違っとるよ」

「嘘ぉ!?」

「結局ここなんなの? a?e?」

「えー?」

「a?」

失敗しても笑って歩ける俺らは、きっと無敵だ。
恥まみれだって言われても、3人で手を叩いて笑える。

赤信号みんなで渡れば怖くないっていうけど、
いつの間にか青信号を手を挙げて歩くことの方が怖くなってる自分に気付く。
でもこいつらと一緒なら恥ずかしくないと思えるのは何でだろう。
俺はいつの間にかもっともっと馬鹿をやりたい人間になってしまっていて、
間違ってると指摘されることも今なら怖くないと思えるようになった。
注意されても、それがどうしてかわからなくても、腕を耳の横につけて、
手をピンと高くあげて発言できる。

「わかんねーよ!! プリーズ、ワンスアゲイン」

「ぎゃはは! ペコめっちゃカタカナやん!!」

「オッケー!! リピートアフタミー!」


もう1回もう1回。

もしもう1回人生をやり直せるなら、
俺はもっと上手く青信号の交差点を歩ける気がした。
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