スポンサーサイト

--/--/-- [--] --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

俺のお姫様(望月みつる目線)

2009/04/13 [Mon] 20:54
俺は母子家庭だった。
妹が生まれてすぐ、父親は他に女を作って出ていった。
それから6年もたつけど、離婚してからは一度も会ってない。
会いたいと思ったこともなかった。(どこかで酷いめにあえ!)
だから、俺の家族は小学校の先生をやってる母さんと小学校に通う激ヤバに可愛い妹だ。

母さんも俺も、むつみを、うちの小さなお姫様を溺愛している。
母さんはむつみが大好きなピンクの洋服をいくらでも買い与えるし、
俺は歌ってと甘えられたら声が枯れるまで歌った。

「むつみ、お兄ちゃんの歌どう!? どう!?」

「ギター上手! むつみお兄ちゃんのギター大好き! 
 歌は下手だからないほうがいい

「むつみがお兄ちゃんに冷たいっ!(でも愛しい!)」

「お兄ちゃん、うざ~い!」

お姫様のお願いはなんでも叶えるのが我が家の当たり前。
だけれど、俺達家族が可愛いお姫様の望みを叶えてあげられない日がやってきてしまう。

むつみの小学校の授業参観日がすぐそこまで近づいていた。

俺は授業参観に親がきたことは一度もない。
別にきてほしいかったわけじゃないんだけど。
ただ、まわりの友達が恥ずかしいと騒ぐのに混ざれないのがつまらなかった。
まぁ、俺が授業参観のときは母さんも授業してるし、しょうがないといえばしょうがなかった。



俺の目の前に座っている母さんは、
むつみの授業参観のプリントを見ながらため息をついていた。

「むつみ、行けなくてごめんね」

「ううん! お母さんも授業参観頑張ってね!」

「むつみ! お兄ちゃんが授業参観いこうか!?」

「お兄ちゃんはちゃんと学校いきなさい」

「むつみの言うとおりよ。授業ちゃんとでなさい」

「……(はい…)」

怒られたけど、家族が教室いっぱいになる時間に、
自分だけ一人ぼっちになるなんて、そんなことむつみには経験させたくなかった。

そんな俺の思いは授業参観の日が近づくたび強くなる。
おかげで最近は授業も頭に入らない。(うん、まぁ、わりといつもだけど!)



「やっぱ俺、明日の午後サボる!」

俺の宣言に目の前の2人は目を丸くする。
ペコはイチゴ牛乳を吸いながら、俺に肩をすくめた。

「その発言、今日で何度目?」

「(え、数えてないし)…3回?」

「正解は覚えてないけど、少なくとも片手じゃ足りない」

ヒラヒラと右手を振るペコの横であっきーが苦笑していた。
呆れられても俺は行くったら行く。

例え、後で母さんにバレてけっちょんけちょんに叱られ倒されても!
震えは武者震いなんだ! 怖いからじゃないんだ! と俺は自分に言い聞かせていた。



「(めっちゃ震えてるし)……しゃーないな。あっきー、俺達もサボるか。むっちゃんのために」

「(もうこれ痙攣やね)…せやね。みつるがおかん怖がって可哀想やしね」

「え!?」

いきなりの2人の発言に今度は俺が目を丸くする。
吃驚しすぎて震えも止まってしまった。

「バレなきゃオッケーやんな」

あっきーは人差し指と親指でわっかを作る。
その奥であっきーの目が笑っていた。

「え…、い、いいの?」

「ええよ! 俺らはいつでも3人セットやろ! 邪魔やって蒲先(担任)がいっとったしな!」

「あ、あっきー! ありがとう!(…でもそれ全然誉められてないよ)」

ペコが俺の肩をポンと軽く叩く。

「将来の可愛い俺のお嫁さんのためだから。任して」

「ちょぉおお!! むつみはお兄ちゃんと結婚するの!」

((うわぁ…))

2人は口元を引きつらせながら俺を見て苦笑いしている。
俺は拳をぎゅっと握って、きたるべきその日を想像した。

3人で授業参観に行くとむつみがピンク色のほっぺをきゅっとあげて笑うんだ。
俺はそれを見てすごく嬉しくなって、幸せな気持ちになるんだろう。
その気持ちを実際に感じるためなら、2人まで巻き込んで! と怒る母さんも怖くない。

…ん?


「……ねぇ、もしかしてさ。母さんにバレた時、2人がいた場合の方が、俺倍怒られない?」

「「……」」

あっきーとペコは2人で顔を見合わせて同時に頷く。

「みつる。気にせん方がいい! ドンマイ!!」

「さーて、俺何着ていこうかな~。奥様受けいいかんじにしよーっと」

「ちょおおおお! 少しはフォローしてよおお!!」



大きい声で叫びすぎて、俺は母さんに怒られる前に先生に怒られたのであった…。

お姫様の笑顔まであとちょっと…
俺の胸は嬉しさがつまって軽くなっていた。


スポンサーサイト

<< 俺の千代ちゃんといったら(沢井章之目線) | ホーム | 青信号の渡り方(不二家美学目線) >>


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。